Twist Bioscience
2020 年 7 月 16 日
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Twist Oligo Poolsを用いたRNAワクチン開発のための、コロナウイルスの病原性因子の同定

Twist Oligo Poolsを用いたFate-seqにより、コロナウイルス RNA の安定性を探ることができ、治療ターゲットを目立たせたり、RNAワクチンの改良にもつながる
コロナウイルスに対するアーティストの印象

(以下 英文ブログを元にした和訳例)世界では、 COVID-19 の原因ウイルスである SARS-CoV-2 によるパンデミックの影響が長引いています。それは間違いなく地球上の生活を変えてしまいました。しかし、人類の戦いと共に見えてきた新たな進歩の兆しが希望を与えてくれます。学術界は特に影響を受け、科学者らはこのウイルスがどのように感染し、伝播し、変異していくのかという疑問に答えを出すために、すぐに駆り出されました。ここでご紹介するグループは、 Twist Oligo Pools によって刺激的なイノベーションがどのように推進できるのかを示し、 SARS-CoV-2 が私たちの免疫系をどのように乗っ取るのかについて、より深い理解をもたらそうとしています。

 

To cause infection, COVID-19 must enter a host cell and release its RNA genome. Virulence is established via replication of this genome, and production of new viral particles through the host cell’s expression of viral genes (Boopathi et al., 2020). Our cells have a number of innate mechanisms that restrict viral replication including RNA degrading proteins and genetic checkpoints alerting the immune system that “this cell has been infected.” These systems work in tandem with the adaptive immune system to halt virulence. 

 

それでも、ウイルスの中には生存競争の中で、ヒトの自然免疫系に対する耐性を進化させたものもあります。RNA ウイルスの中には、ゲノムの安定性のために RNA 分解酵素の働きから逃れるものもあります。RNA は、分子内で塩基対を形成して複雑な二次構造を形成すると安定性が増大します。これらの二次構造により、宿主細胞の抗ウイルス命令の影響を逃れるか、または積極的にブロックすることで、気付かれずにウイルスを複製できるのです。

 

急速に進化するウイルス RNA の安定性を標的とした治療薬は、宿主の免疫系がウイルス感染を効果的に分解・除去することを可能にするかもしれません。最近Biochemical and Biophysical Research Communicationsで発表された論文で、脇田氏らは、宿主細胞内での RNA の安定性に寄与する RNA および DNA ウイルス由来のRNA配列を網羅的に調べる方法を開発しました。シニアオーサーの秋光信佳教授は、この研究を RNA 医薬の強化に向けた一歩になると説明しています。

 

「mRNAは不安定で、細胞内でうまく翻訳されないことが多いのです。mRNA の安定性を高め構造を強化する天然成分を研究することで、 mRNA の医薬品としての機能性を高めたいと考えています。」と秋光教授は説明しています。

 

この研究で開発された方法は「Fate-seq」と呼ばれます。Fate-seqは、哺乳類の細胞内では、安定した RNA 配列は不安定な配列よりもはるかにゆっくりと分解されるという原理を利用しています。目的の RNA 配列に緑色蛍光タンパク質などのシグナル分子を結合させて細胞内に導入することで、分解を直接測定することができます。最も強い蛍光シグナルを長時間示す細胞には、最も安定した RNA 構造に結合したレポーターが含まれています。最も強いシグナルを示す細胞をシーケンシングすることで、安定性の高い RNA 配列を正確にマッピングすることができます。

 

Fate-seqのゲノムタイリングワークフロー
Fate-seqのワークフロー。A)ウイルスゲノムを260 ntの長さに断片化(200 ntのオーバーラップ)。B)ウイルス配列をオリゴプールとして合成し、GFP遺伝子の下流のベクターライブラリにクローニング。C)ベクターライブラリからin vitroで転写して得られた mRNA 構造。D)哺乳類細胞に mRNA をトランスフェクションした後、6時間培養する。E)6時間後も安定性が保たれている配列が特定される。図:東京大学の秋光教授より提供

 

脇田らは、 Twist Bioscience Oligo Poolsを使用して、26種類のウイルスのゲノムをスキャンしました。各ウイルスゲノムを260ヌクレオチド(nt)の断片に分割しました(200 ntのオーバーラップ)。秋光教授は、この研究で高品質のオリゴを使用することの重要性についてこう説明しました。

 

“When doing a genome scan like Fate-seq, you need to be sure you are covering as much of the genome as possible, as evenly as possible. Because of the good uniformity and low error of Twist Oligo Pools, we can get even coverage across the viral genomes, and know we do not miss any potentially critical data.” Twist Oligo Pools can be synthesized up to 300 nucleotides, with an industry leading error rate of 1:2000.

 

この研究では、Fate-seqにより、重症急性呼吸器症候群 (SARS) 関連コロナウイルス (SARS-CoV) および SARS-CoV-2 において、高度に保存された2つの RNA 安定化領域(COV001とCOV002)が発見されました。脇田氏らの結果では、 SARS-CoV-2 のCOV001の二次構造に、SARS-CoVでは推測されなかった変化が見られました。著者らは、「この二次構造の潜在的な違いが、 SARS-CoV-2 の病原性に寄与しているのではないか」と解釈しています。特定された配列は、ウイルス RNA の安定性とこれらの配列に結合する RNA 結合タンパク質に影響を与える可能性があり、 COVID-19 をはじめとするウイルス感染症の治療のための標的にできるかもしれません。

 

Development of COVID-19 vaccines are currently in high-demand, many consisting of messenger RNA to activate the host immune system (Callaway, 2020). New technologies like Fate-seq to identify stabilizing molecules will offer significant benefits to the RNA vaccine development field, allowing more stable and efficacious vaccines to be produced. Moreover, Prof. Akimitsu reiterated “RNA stability is important for the viral life cycle. In theory, by inhibiting stability, we can reduce viral proliferation and virulence.” Fate-seq is therefore an expeditious and promising approach to spotlight critical genomic regions for further characterization as targets for antiviral therapeutics.

 

Fusion Medical AnimationによるUnsplashのカバー写真

 

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