NGS を用いた品質管理で、バリアント(COSM214499)が頻度 0% にも関わらず常に高く検出されるのはなぜですか?

この欠失は T が 10 個連続するゲノムコンテクストで、ATM 遺伝子 に起こります。これらの T の連続が遺伝子座を「滑りやすい」配列にし、ゲノムのコピーを複製している DNA ポリメラーゼが、合成中の鎖に対して鋳型鎖を滑らせ、それがインデルの発生につながります。

 

PCR ポリメラーゼがライブラリ調製 PCR 中に配列をコピーする際に、同じ効果が同じメカニズムで発生する可能性が高いです。すなわち、この遺伝子座は、通常のライブラリ調製時の PCR サイクルのため、自然にバリアント配列を形成する可能性が特に高いといえます。

 

アレルが全く存在しない場合、ヒトゲノムサンプル(Pan-cancer Reference Standard を含む)では、 PCR エラーにより、この変異の VAF が増加します(汎がんの VAF が 0% の場合、このリファレンススタンダードにおいて、他のバリアント部位の 99.8% よりも高い VAF となります)。したがって、そのゲノムコンテクストのためにバックグラウンドノイズがより高くなり、すなわち配列コンテクストによって、このバリアントのブランク上限(Limit of Blank)が他の遺伝子座よりも高くなり得ることを意味します。

 

アレルが存在する場合は、真のアレル頻度が遺伝子座のノイズレベルに「加えて」追加され、それはこのバリアントが、他のバリアント部位よりも高い検出限界を持ち得ることを意味します。

 

UMI アダプター(例: Twist UMI アダプター)を用いてコンセンサス配列やデュプレックス配列を生成させることで、ライブラリ調製時の PCR エラーによるこの遺伝子座のノイズを減少させることができます。

 

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